人気ブログランキング | 話題のタグを見る

「ファロウェラ・ナッテレリィ」の紹介。

皆さん、こんばんは。ファロ支部ybkjです。。。

私が住んでいる最寄の駅には、今はやりの「アウトレット」があります。。。
場所柄なのでしょうか、、、閉店時間が他の地域よりもやや早く20:00なのです。

その20:00を3分ほど過ぎたところで、若いカップルが開かない自動ドアの前で会話をしていました。

その時の会話です。(通りすがりに聞こえてきました。。。)

彼女:「ねぇねぇ、やってなくなーい?
彼氏:「え、まじ?やってるくさくねぇ。

いえね、言ってる意味は解りましたよ!でもね、こうなんと言うか、オジサンの脳みそにはこの手の会話がすんなり“母国語”として入ってこないんですよね。。。頭のどこかで、“日本語”に訳している気がするんです・・・。言うなれば、通訳みたいな感覚に似てて。。。
あっ、ちなみに、今の若者口調で上の会話を読んで頂くと、臨場感が出るかと思います。。。



さてさて本日は、、、ファロウェラ26種類7グループの中で、最も数多くの種類(6種類)を擁する『3枚組』は「F.ナッテレリィ」グループのフラッグシップ的お魚のご紹介です。


「ファロウェラ・ナッテレリィ」の紹介。_b0088646_2234507.jpg


Farlowella nattereri Steindachner, 1910

Junior Synonym(同種異名);-           ロカリティ ;-
Farlowella acestrichthys Pearson, 1924   Rio Beni, Bolivia
Farlowella azygia Eigenmann & Vance, 1917  Santerem, Brazil
Farlowella hargreavesi Eigenmann, 1912    Guyana


※「ロングノーズ・ファロウェラ」と呼ばれてたくさくねぇ?(こんな使い方でおけー?)
一般的な流通経路で取引されている「ファロウェラ」の中で、吻が長いのが本種です。そういった意味でも以前では、本種が「ロングノーズ・ファロウェラ」と呼ばれていたかもしれません。しかし、吻が長めなのは「F.ビッタータ」(雌雄差や地域差)にも見られるので、一概に「F.ナッテッレリィ」=「ロングノーズ・ファロウェラ」と結論付けできないのですが・・・。






一見しただけでは先ず区別が付かない、「長めの吻を持つF.ビッタータ」と「F.ナッテレリィ」ですが、この2種類のお魚には、決定的な違いがあります。それは、前者が腹側のウロコが2枚並びの『2枚組』なのに対して、後者は腹側のウロコが3枚の『3枚組』と言う点です。


見分け方は非常に複雑。。。しかし、敢えて簡略化すると、凡そ次のポイントに集約できるでしょう。

①「口から吻(鼻)の先端までの長さ」が、「胸ビレ」の長さよりも長いこと。
  (「ファロウェラ・マリアエレナエ」は短い。)

②「胸ビレ」の長さが、「胸ビレの付け根から尻ビレまでの距離」より長いこと。
  (「ファロウェラ・ビッタータ」は短い。)

③「体側面」に独特な形状をしたウロコが5枚ある。



「ファロウェラ・ナッテレリィ」の紹介。_b0088646_22474363.jpg

Farlowella acestrichthys Pearson, 1924の代表標本↑。



A)ファロウェラの中では大型になるタイプ。
私が「ファロウェラを真剣に飼おう」と思わせてくれた個体が、じつは本種だったのではないかと考えています。当時は、きちんとした分類も出来ずに、あろう事か「ファロウェラ・グラキリス」として飼育しておりました。。。今思えば、この個体は裕に20cmSLを越えておりましたし、とにかく鼻が長かった・・・。そして、『3枚組』であったのと同時に他のファロウェラとは明らかに体形・色が違っていました。
比較的小型な「F.マリアエレナエ」と違って大型になり、「F.ビッタータ」と違って吻に網目模様が入っているのも特徴と言えます。


B)流通について。
基本的に「F.ナッテレリィ」のみで流通することは無いと思います。また、「F.オキシャリンチャ」や「F.プラトリンチャス」のように“売価”を高く出来る特別な特徴もありませんから、まぁ通常の“ファロウェラ”として、混じって流通されているように思われます。と言うことは、目を鍛えて「抜く」しか入手の手立てはありません。。。
生息地域はボリビア、ブラジル、コロンビア、エクアドル、ペルーと広範囲なのですが、ファロウェラ流通の中心であるオリノコ川流域のお魚ではなく、『アマゾン川流域』のお魚さんです。。。なので、一般的なコロンビア・ベネズエラ便での入手は不可能に近く、ブラジル・ペルー便あたりに期待するしかなさそうです。


C) 生息環境。
pH : pH5.0 ~ 6.0
水温 : 26.0℃ ~ 32.0℃
水流 : 緩やかな流れ
ファロ飼育難易度 : ★★★★☆ (★が多いほど飼育難易度高い)


D) 実勢。
販売サイズ : 12cm ~ 20cmSL
販売価格  : JP¥900 ~ JP¥1,700 (ファロ支部調べ)
入手しやすさ : ★★★★☆ (★が多いほど入手困難)


「ファロウェラ・ナッテレリィ」の紹介。_b0088646_2315282.jpg


ファロ支部では、過去に数匹飼育したことがありますが、上手くキープ出来ていません。。。じっくり飼い込まないといけないファロウェラのようです。こっそり度はファロ支部随一で、先ず姿を見せることはありません。飼育はファロウェラの中でも難易度の高い種類だと思います。。。特に水換えなどの急激な水質変化に弱い感じです。



この地域「アマゾン川上流域」には、とっても欲しいファロウェラの種類が居るんだよなぁ~。。。
業者さん、、、頑張ってくれないかなぁ~??「ファロウェラ・アマゾナ」とかさ・・・。







(追記)2006/11/01

「ファロウェラ」は、決して希少種のお魚ではありません。。。しかし、「ファロウェラ・アクス」や「ファロウェラ・グラキリス」など地域性の強い種類は、その土地の開発状況などで絶滅に瀕しているとも伝えられています。特に「ファロウェラ・アクス」に関しては、数年のうちに絶滅危惧種に指定されかねない状況のようです。ただし、このお魚の場合は、「インペリアルゼブラプレコ」(ヒパンシストラス・ゼブラ、L046)の場合(観賞魚としての乱獲)と違って、生息する川の環境が著しく破壊されていたり、水質の汚濁が原因です。
出来れば早めに保護、繁殖をさせて種の存続を確保して欲しいものですが・・・。

私の文章構成が「ファロウェラ・xxx=希少種」と言う方向に導いてしまったとしたら、それは私の書き方が悪かったのだと思います。改めて反省、お詫び申し上げると同時に、ファロウェラは希少種(一部を除いて)ではないことを、再認識して頂きたいと思います。
まぁ冷静に考えても、飛ぶように取り引きされて売れるお魚ではないですから、乱獲されて絶滅するという心配は皆無に近いと思います・・・(核爆。

入手が難しいのは、入荷時のお魚の健康状態が良くないことが多く、市場に出回る前に死んでしまっているからなんだと思います。。。現地で採集された後も、商業的価値が高くないのでしょうね、あまり大事に扱われていないお魚さんのうちの一つなのです。。。あっちの川とこっちの川とそっちの川で獲れたファロウェラが同じポリ袋に数十匹詰め込まれて空輸されてくる。。。そんな扱いを受けているようです。商業価値の高いお魚で大事に梱包されてきたとしても、時には状態が悪い場合だってあるわけですから、ファロウェラのようなお世辞にも丁寧に扱われていないお魚の梱包では、、、入荷状態が良くないのは火を見るより明らかです。問屋さんもメンテナンスが大変なことでしょう・・・。。。

ですので、ショップの方も、仕入れには非常に慎重ならざるを得ないのだと思います。ごもっともです。。。一つ間違えれば、販売水槽ごとダメにしてしまいかねない致命的な病気を持ち込んでしまうことだってあり得るわけですから・・・。

我々の出来る事、、、“こういった粗末に扱われるお魚”の商品価値(評判)を少しでも上げてあげること。飼育を通じて、少しでも「このお魚は素晴らしい」と感じてもらうこと、「生態や環境」に興味をもってもらうこと。。。
需要が上がれば、ショップや問屋、シッパーに採集業者、流通に関わる全ての人々が少しでも高値で取り引き出来るようになるはずです。そして、、、彼らが健全な利益を得られるようになれば、それに越した事はありません。その結果、販売価格が100円あがったとしても200円あがったとしても(1000円とかになると???ですが・・・)、それはそれでよいと思っています。。。

例えば、その利益分で、現地での梱包技術が改善され、設備が良くなれば、状態の良いお魚が輸出出来るわけで、そうなれば輸入側の問屋さんはお魚のメンテナンスやトリートメントの負担が少なくなるはずです。必然的に販売するショップも仕入れリスクを回避軽減できます。その結果、我々素人アクアリストも「状態の良い個体」を存分に楽しむ事が出来るのではないでしょうか!
流通されるお魚の致死率が下がれば、死んだ分の無駄な経費も削減できますから、逆に値段は落ち着くと思いますし、なにより、致死率が下がる事で貴重な“野生のお魚”を無意味に殺す必要がなくなります!!

あれっ?話が脱線気味??(いやいや思いっきり脱線・・・)
また話があらぬ方向へ行きそうなので。。。軌道修正。。。


私が欲しい「ファロウェラ・アマゾナ」は、ブラジルのアマゾン川上流域に広く生息している「ファロウェラ」です。が、そもそもブラジルの一般便ではなかなかファロウェラ自体、取り引きされていないんだそうです。。。なので、希少種ではなく、単に“流通されてこない”お魚なのです。。。

いつの日か「ファロウェラ」が「ロイファロ」や「プレコ」のような市民権を得て、大事に空輸される日が来ることを希望しつつ・・・。
そして、いつの日か、きちんと種類が区別されて「ファロウェラ」が流通され、個別の名前で販売される日が来ることを・・・。

そうは言っても、現状の“抜く楽しみ”ってのも捨てがたい・・・。

by ybkj | 2006-10-30 23:36 | 枝の分類

<< 「緑倶楽部」頑張ってます! 「ファロウェラ・オキシャリンチ... >>