「オトシン・ネグロ」のススメ 第一夜『取扱説明書』

すっかり“いい陽気”になりました。そろそろ夏本番ですね!自称『夏男』の私としては、海に山に、そりゃもう大忙しの予定です(週末限定・・・)。

皆さん、こんばんは。気まぐれ『枝支部』ybkj(やぶかじ)です。

先日、とある某ショップへ立ち寄りました。。。何を買うわけでもなく、ただぷら~っと寄っただけなのですが、突然、もの凄い光景が目に飛び込んできました。

オトシン・ネグロ  ¥900.-


ぅおぉぉ~、とうとう「オトシン・ネグロ」も高級魚の仲間入りですか!?

あまりの衝撃に目が点になり、、、まるでびびったザリガニのように後ずさりして店を後にしました・・・(爆。



という事で、今回は、高級魚に仲間入りを果たした記念(厭味よ~ん)に、「オトシン・ネグロ」を、しっかりガッツリと掘り下げてみましょう。。。
豪華二部構成でお届けします!




『第一夜』は、一体「オトシン・ネグロ」って?を、考えていこうと思います。





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ち~っす!まいど、おなじみネグロっす!!

ご存知の通り、本種はめちゃくちゃ地味な体形と体色をしています。体長は、オスで25~30mmSL、メスだと35~40mmSL程度、、、ロリカリア科の中では小型の部類に入ります。
販売名は、100%「オトシン・ネグロ」として売られていますが、Hisonotus leucofrenatus (Ribeiro, 1908)」(「ヒソノタス・レウコフレナタス」)
と言う、かなり“ややこしい”学名が付いています。本文では、ややこしくなるので「オトシン・ネグロ」で統一いたします。

誰が言ったか「オトシン・ネグロ」。英語の販売名は「Niger Oto」(ニガー・オット)。。。
某有名ショップだけでなく、本種が「ネグロ川」出身と本気で勘違いしているショップやアクアリストが意外に多いです。販売名に“ネグロ”と付いているので、仕方ないのかも知れないですが、この場合の“ネグロ”は、本種の最大の特徴である(と言うか、これしか特徴が無い・・・)“黒い・茶色い”の意味で使われています。

また、英語名での“ニガー”はご存知の通り、黒人に対しての蔑称でスラングです。日本語に訳すと“ちびくろ”、本種の特徴を正に言い得た感があります(笑。
しかし、前述の通り“ニガー”は差別用語ですから、それなりの配慮がされています。本来の“ニガー”のスペルは“Nigger”ですが、“Niger”となっています。。。人種差別にうるさい国ならではの配慮ですね!で、本来“Niger”と書くと“ニジェール”と言うアフリカの国の名前になってしまうんですが・・・。

まぁ学名が学名なだけに、なかなか良い通称(流通名)が無かったのでしょう。あまり難しい名前だと、覚えられないですから。容姿から想像できるキーワードは「茶色」「小さい」ぐらいなもの・・・。だもの、“ネグロ”と呼びたくなるのは当たり前ですよね!そんなこんなの紆余曲折を通り一遍した挙句、“Nigger”をラテン語表記して“Negro”(ネグロ、ニグロ)となったのでは。。。これ以外は考えられない・・・。

ほんと、このお魚は、名前からしてややこしい・・・。






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オレ、写真とか苦手だし。。。

「オトシン・ネグロ」の記事は、今の今まで、なるべく避けて通って来ました。。。『枝支部』の過去の記事を見ていただくと判るのですが、本種に関しての記述や写真は少なかったと思います。何故かって??だってさ、“写真に撮らせてくれないのよぉ~”(爆。。。
茶色くて小さくて隠れてばかりで、数少ないシャッターチャンスも“ちょろまか”と動かれては逃しまくり。。。撮ってるうちに嫌になってくるのがこのお魚さんです。
しかも、ピントが合わせづらいので、“写真写り”が悪い悪い・・・。

出身はブラジル南東部サンパウロ州の河川、パラグアイ寄りの河川。。。似たような種類の「ヒソノタス」がアルゼンチンにかけて、多く分布しています。生息地域は、22℃~25℃と水温が低いそうです。生息環境は、青々と茂った水草の流れ(チョークストリーム)と言うよりも、葦などが岸に繁茂した少しゆったりした流れに多く居るみたいです。「パロトシンクルス・マクリカゥダ」などとも生息域をシェアしているようですが、「Pr.マクリカゥダ」は自分に合った水質を求めて移動しながら生活するのに対し、「オトシン・ネグロ」は生まれてから死ぬまで、ほぼ同一水域で生活すると考えられています。

この定着型とも言うべき習性は、水槽内でのあらゆる水質に“ある程度”適応出来る、という性質に強く反映されていると考えます。水槽内での適応水質は幅広く、pH4.0からpH8.0ぐらいまでなら平気な顔して生活しています。低水温水域出身ですが、水槽では30℃ぐらいの高水温でも普通に生きています。但し、急激な水質変化に脆い一面を持ち合わせているのも確かなようです。。。
経験上、pHは高いよりやや低い水質の方が、調子は良いように思いますが、ろ過がしっかり効いている水槽や環境が安定している水槽ならば、pHを含めた水質全般は、あまり拘る必要ありません。。。





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一仕事(産卵)を無事終えて、本水槽に戻されたお母さんネグロ。

食性は、他のロリカリア同様に“雑食性”です。茶ゴケやヌルヌルはもちろん、流木や石の表面・底砂表面に発生する何か、アカムシ、コリタブ・プレタブ、顆粒エサ、ほうれん草・小松菜、キュウリ(生ものは水を著しく汚すのでお勧めしませんが・・・)、混泳魚の屍骸などなど。。。凡そ考えられるエサは全て食べます。

逆に、肝心要のコケですが、緑のポツポツゴケ、黒いヒゲゴケ、トロっとした糊状コケ等のコケには興味を示しません。と言うか、食べものとして認識していないのでしょうね・・・。これらのコケを駆逐するには、全く役立たずです。

“オトシン”と言うと、一般的にはベジタリアン的なイメージが先行していますが、実際は“肉食”に近い食生活をしています。比率としては、肉:草=70:30、もしくは80:20ぐらいでしょうか。。。

尚、「オトシン・ネグロ」は「オトシンクルス」よりもコケを取るのが上手いと言われていますが、私は本種のコケ取り能力には、非常に懐疑的です。。。総合的なコケ取り能力を単純に比較した場合、むしろ「オトシンクルス」の群れの方が優れている、と思っています。。。もっとも、「オトシン・ネグロ」は群れを作るお魚ではないので一概に言えませんが・・・。(あっ、ちなみに茶ゴケ限定で言えば、どちらのお魚も目の色変えて食べますので比較のしようがありません。)





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この写真はオス個体です。
オスの特徴は、“はっきりとした茶色い体色”と、“下半分がきちんと茶色く染まる尾びれ”です。(尾びれが写ってない!!一枚目の写真参照。)
オスとメスの見分け方は、簡単!お店から買ってきて、1ヶ月ほど飼育して、小さいままの子は“オス”、大きくなってきたら“メス”、でほぼ間違えありません。

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こちらの個体はメスです。
メスはオスよりも二回りほど体が大きく、体色はオスに比べるとぼやけた茶色、と言うか薄い体色をしています。尾びれの茶色も不鮮明で、ぼんやりとしているのが特徴です。何よりも、お腹が大きくなるので、すぐ見分けがつきます。
メスは、エサが十分に足りていて健康であれば、すぐにお腹が横に膨らんできます。お腹と言うより腰周り(背ビレの両側あたり)が膨らんできます。膨らんできたら、産卵OKのサインですね!この写真のメスぐらいに成長していれば、すぐにでも“繁殖”させることが出来ますよ!!
ツチノコみたいにお腹がパンパンじゃなくても大丈夫です。産卵数が少ないってこともありません。






「オトシン・ネグロ」は、様々な水槽環境に適応でき、水草や混泳魚にイタズラすることもありません。しかし、一旦馴染んでしまうと、なかなか水槽の前面に姿を現さなくなってしまいます。警戒心が強く、忍者のように“木化け”して、外敵・天敵から身を守ります。

群れで行動する「オトシンクルス」は、移動する時は意外と悠長にのんびりと泳ぎます。。。対して、単独行動の「オトシン・ネグロ」の移動は、すばやく、機敏で、泳ぐ距離も短いです。こういった何気ない日常のしぐさや行動からも、「オトシンクルス」と「オトシン・ネグロ」が全く違う性格の持ち主であることを窺い知る事が出来ます。単に“コケ取り”として人気の2種類ですが、じっくり観察すると、似ても似つかない者同士であることが判ってくるはずです。。。




さてさて、、、



「オトシン・ネグロ」と言うと、忘れてはいけない“もう一つの魅力”がありますよね!



そう、それは、家庭でも意外と簡単に“人工繁殖”させられること!!



繁殖させる方法に関しては、たくさんのアクアリストがホームページやブログで、その方法を詳しく紹介してくれております。

興味がある方は、ご自分で調べてみて下さい。





『第二夜』では、繁殖・育成のお話をしたいと思います。。。





おやすみなさい。。。









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5月初旬に生まれた「L134」(「ペコルッティアsp.“タパジョス”」)子供たちの成長経過です。。。
お蔭様で、8weeks old (週齢8週)になりました!

『枝支部』特製育成ケースに23匹確保しましたが、生まれつき体が小さくて縄張りを張れない、体力の弱い5匹が死んでしまいました。。。残念ですが、為す術がありませんでした。自然淘汰の部類なのではないか?、と考えています。

現在は18匹の“チビチビプレコ”がスクスクと成長を続けております。それぞれがそれぞれの個性ある模様に変化して来ました。かわいぃ~!
体長は、成長が早い大きい子で35mmTLほど、成長の遅い小さい子はまだ25mmTLぐらいです。。。

小さくてもプレコ、動きは親魚と全く一緒なのが笑えます。早く大きくなぁ~れっ!!


一枚目 : エサの時間にならないと表に出てきません・・・。
二枚目 : すっかり一丁前の容姿になりました。
三枚目 : やっぱりブラインが一番美味しいみたい。。。
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by ybkj | 2008-06-28 02:12 | 茶色小鯰

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