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「ファロウェラ・ハーナィ」2007夏 初上陸? (『枝支部』夏休み特別企画 第1弾)

残暑お見舞い申し上げます!!

『枝支部』活動を実質的に終了してから早いものでもうすぐ3ヶ月という月日が経とうとしていますが、皆様におかれましては、今年のクソ暑い夏をいかに上手く乗り切ろうか、と日々切磋琢磨、鋭意努力されて居られる事と存じます。
皆さん、ご無沙汰しておりました。ファロ支部ybkjです!!
『枝支部』活動を終了させて頂いたにも関わらず、連日、大変多くの方々にお越し頂いております。。。心から感謝申し上げます!



はてさて、お堅い「社交辞令」的ご挨拶はこの辺にして・・・っと。。。

今回、とても“珍しい”と言うか、私の知る限りでは、“日本初上陸”?と思われる、我が愛しのアイドル「枝」こと「ファロウェラ」を入手致しましたので、特別編としてご紹介したいと思います。



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特別な「枝」との出会いはいつも突然訪れます。。。とある某屋上熱帯魚売り場に予告なく入荷した「枝」。。。
販売名は「ファロウェラ sp.“アルゼンティナ”」でした。名前に表現されている通り、アルゼンチン便による入荷だったようです。通常「ファロウェラ」は、コロンビア便からの入荷が大多数を占め、たまにベネズエラ便(と言ってもコロンビア便と混ざっている可能性が高い)やペルー便に乗って入荷される程度なのですが。。。ブラジル便に限っては、ほとんど入荷がありません。。。
そんな中で“アルゼンチン便”からの入荷となれば、『枝支部』が放っておくわけありませんよ!!

管理が隅々まで行き届いたショップの水槽でご対面した時に思った第一印象は、
“おやっ?「ファロウェラ・オキシャリンチャ」??”
というものでした。。。本種は、ペルーやブラジルに跨る「アマゾン川上流域」に広く分布する「ファロウェラ」です。
それが何故、、、「パラグアイ川水系」のアルゼンチンから?。。。早速、課題が出来たのでした。



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早速、いつものように、特徴、数値から“種類”を同定してみましょう。

鼻(吻)の長さ ÷ 胸ビレの長さ = 1.9041
この数値は、「ファロウェラ」の一般種である「F.ビッタータ」に比べるととてつもなくロングノーズです。ここまで吻の長い「ファロウェラ」となると、種類がグンと絞られてきます。
『F.アマゾナ・グループ」からは、「F.ヘンリクェイ」「F.ルゴサ」など、
『F.ナッテレリィ・グループ』からは、「F.ナッテレリィ」、
『その他グループ』の「F.オキシャリンチャ」、「F.ハーナィ」、「F.レティキュラータ」
などが候補となります。。。まぁ、普通の「枝」ではないのは確かですが・・・。

ウロコの数は『3枚組』
『3枚組』となれば、必然的に『2枚組』の『F.アマゾナ・グループ』は脱落することになります。

胸ビレの長さ ÷ 胸ビレの付け根から尻ビレの付け根の長さ = 0.8602
この数値を考慮すると、「胸ビレの長さ」が「胸ビレの付け根から尻ビレの付け根の長さ」よりも長い(数値 >1.0000)のが特徴の、『F.ナッテレリィ・グループ』は除外されることになります。

残された可能性は、『その他グループ』に属する3種類 ;
-  Farlowella hahni Meinken 1937 『ファロウェラ・ハーナィ』
-  Farlowella oxyrryncha (Kner 1853) 『ファロウェラ・オキシャリンチャ』
-  Farlowella reticulata Boeseman 1971 『ファロウェラ・レティキュラータ』
という事になります。



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さて、上記の“お腹側”からの情報で、種類は3種類に絞られました。。。これ以上、絞る事は出来ないのでしょうか?
1997年にRetzer&Pageによって発表された文献では、身体的特徴や数値を体系的に比較分類されており、その項目は34項目に至ります。その細分化された身体的特徴の中でも、尾ビレの模様は、目で判断できる重要な同定要素となります。実際、「ファロウェラ」には5種類もの「尾ビレの模様」が存在しており、種類を判断する時の有効な手段となっているのです。

そこで、上の写真を見ていただくと、このお魚の尾ビレは、「上半分が塗りつぶされていて、下半分は先のほうだけが濃くなっている」、という特徴が見て取れます。そして、この特徴を兼ね備えた「ファロウェラ」は、
-  Farlowella hahni Meinken 1937 『ファロウェラ・ハーナィ』
-  Farlowella oxyrryncha (Kner 1853) 『ファロウェラ・オキシャリンチャ』
となり、残念ながら『F.レティキュラータ』は脱落することになります。。。




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果たして、このお魚の正体は一体・・・。
手前にピンボケで写りこんでいる、まぁいわゆる“普通”のファロウェラ(「F.ビッタータ」)と比較して頂ければ、この個体の大きさが判って頂けると思います!でかい!!


もういっちょ、「F.ビッタータ」と顔つきや模様を、比較してみましょう!
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余計な言葉は要らないかも知れないですね・・・。。。「F.ビッタータ」も良いですが、このお魚にはワイルドな趣きがあります。。。



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威風堂々!3匹入手できた中で一番大きな個体。大きさは20cmSLをやや超えるぐらい。。。「ファロウェラ」の中でも大型に属するお魚です。

さて、長く引っ張って来ましたので、そろそろ結論に入りたいと思います。

最後まで候補として残った、2種類の「ファロウェラ」。。。『F.ハーナィ』と『F.オキシャリンチャ』。上述の文献によると、
この2種類の「ファロウェラ」は、34項目の身体的特徴及び数値がほぼ同一であり、この分類法では、区別がつかない!
とされています。但し、唯一違う点として地理的要因が決定打であると記載されています。

つまりは、ペルー、ブラジル北部、ベネズエラを跨ぐ『アマゾン川上流域及びアマゾン川水系』に生息する『F.オキシャリンチャ』(一部『オリノコ水系』にも生息している)と、ブラジル南部、アルゼンチンを跨ぐ『パラグアイ水系パラナ川』に生息している『F.ハーナィ』の違いは、身体的特徴は同一でも、生息水域がかけ離れている事から、違う種類の「ファロウェラ」として記載しても矛盾しない、という事なのだそうです。


という事で、このお魚は、最初に申し上げたとおり、「アルゼンチン便」ではるばるやってきました。ですので、


Farlowella hahni Meinken 1937 『ファロウェラ・ハーナィ』

であると断言出来ます。。。


ふ~、、、奥が深い。。。






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本当は買う(飼う)予定は無かったんですよ。。。でも、長い事、売れ残っていて。。。ペルー便でやって来たそうです。
店主曰く、「ybkjさんぐらいしか買わないでしょ!xxxx円でいいですよ!」と・・・。また、はめられた・・・。

しかし!、今では買って良かったと思っています。とても可愛いお魚さんなのョ。。。

販売名は「アシペンサー・ロリカリア」。その他にも「ピノキオ・ロリカリア」などがあります。
本名は、「Hemiodontichthys acipenserinus (Kner, 1853) ヘミオドントイクティス・アシペンセリナゥス」と言います。
名前の由来は、その容姿特徴である、ツンと突き出た鼻にあります。“アシペンサー”とは、チョウザメの学名で、チョウザメの容姿に似ているところから、この名前がつきました。

飼育ですが、『枝支部』的には、「ファロウェラ」より簡単で「リネロリカリア」より難しい、、、程度として認識しました。
飼育に欠かせないのは、細かい底砂と、身を隠せる枯れ葉です。特に枯れ葉は、彼らにとって重要なようで、枯れ葉を正に布団のようにかぶって生活しています。と言うか、普段は水槽内で吹き溜まった枯れ葉に潜っています。食性は、限りなく動物食。アカムシに慣れるとアカムシしか食べません。もちろん、コケなんぞは目もくれません・・・。コケ取りとしては「リネロリカリア」より劣る4流、5流以下です。。。

性格はとても大人しく、喧嘩、縄張りなど、攻撃的な一面は一切ありません。。。枯れ葉がたんまりと水槽内に入れてある限り、いたずらはしなさそうです。水質にもあまり文句は言いませんが、溶存酸素はやはり大事です。

況や、結構丈夫で飼い易いお魚ですので、もう2~3匹欲しいぞョ!!




「夏休み特別企画 第2弾」は、みんなが好きな(?)「リネロリカリア」をピックアップします。

どうぞ、お楽しみに!!



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内容と↑のお魚は全く関係ない、予定でおります(爆。。。




by ybkj | 2007-08-22 22:34 | 枝の分類

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